第1分科会では、「伴走型介護の追求ーQOL向上に資するケアの実践ー」をテーマに6つの分散会が行われた。

分散会①【認知症ケアの実践】
・「笑顔」をとりもどす為に【寄り添う事から始めよう】
特別養護老人ホーム・みよし苑(徳島県三好郡東みよし町)
介護福祉士  中前裕司氏
アルツハイマー型認知症を患っている方が転倒、骨折、入院をきっかけにBPSDが重度化した。もう一度以前のように笑ってほしいとご家族、職員の思いが一つとなり、「笑顔」をとりもどす為に多職種協働で取り組んだ。リハビリでの歩行訓練や主治医と相談し服薬調整するほか、介護職員が付き添えない時には事務職員や夜間早朝の宿直員も寄り添いながら多職種協働の意識が強くなった。今回の取組みでご本人の気持ちに寄り添うこと、穏やかな気持ちで接することの大切さについて改めて気付かされた。今後も「笑顔」=「やりがい」につながるよう多職種協働で取り組んでいきたい。
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分散会②【自立支援の実践①】
・幸せを齎す自立支援ケア指標を探る【伴走型介護×みづほ式KAIGO×価値観】
特別養護老人ホームアルメゾンみづほ(愛知県一宮市)
​主席相談員  榊原瑞恵氏
「利用者に幸せをもたらす真の自立支援とは?」に対する理解を深めるため、ICF(国際生活機能分類)を用い、これまでの活動で築き上げてきた「みづほ式KAIGO」をもとに利用者の背景因子を読み解き、参加と活動に基づく自立支援の効果を検証した。
①背景因子と日常生活状況から全利用者100名の人物像を類型化(自由奔放型、職人型、アカデミック型、人脈型、マイルーム型)。②ソフト・ハード面の支援を含めて「みづほ式KAIGO」の全メニューを参加と活動の視点から一覧化する。③類型アプローチの選択。④ケアプランの立案と実施。⑤効果の確認とフィードバック。
「その人を知る」ことは「その人の価値観を知る」ことである。価値観の満足は利用者に幸せをもたらす。また、そのサポートは心理的アプローチだけでなく、医療と介護の連携や家族との情報共有が不可欠である。これら総合的なケア指標とサポートを包括した「みづほ式KAIGO」を作成することが自分らしさを保つリズミカルな暮らしを実現可能にする。
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分散会③【自立支援の実践②】
・「食べて、食べて」はもうやめよう
特別養護老人ホーム エバーグリーン(岐阜県多治見市)
介護職  山田香穂氏
認知症の影響と身体機能の低下から食事が進まないご利用者様が多くいたが、全量摂取が当たり前という雰囲気があったため、食べさせないといけない、食べてくれないと次の介助に進めないというストレスを感じていた。そのため、「食べて、食べて」と言いながら無理に食事をすすめていたが、ご利用者様の年齢や体力を考えると、全量摂取や栄養バランスを重視する必要があるのかという思いも感じていた。そこで、無理なく経口摂取を維持できないか取組みを開始した。
ご家族様と相談のうえ、施設からの食事提供を中止し栄養バランス等に拘らずA様の好きな物だけを提供し始めたところ、食事摂取量、体重共に増加し元気も出るなどの良い結果が見られた。しかし、看取りケアの内部研修を通じ、「食べても体重が減っていくことは、栄養として吸収することができず、自然に最期を迎える準備段階に入っている」ということを学んだ。ご家族様のなかには、老衰が進み食べる意欲が低下し、食事を摂ることが苦痛にさえなっている事が理解できない、自分の家族が老ていくことをすぐに受け入れることができない方もいらっしゃいます。その様なご家族様とどのように向き合っていくかが今後の課題。
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分散会④【看取り介護の実践】
・施設での看取り介護【家族に看取られながら】
大宇陀特別養護老人ホーム ラガール(奈良県宇陀市)
介護支援専門員  生駒和樹氏
平成26年度より看取りケアを開始。開始にあたり職員の不安や看取りのマニュアル、看取りへの理解、夜間帯の対応など精神的ケアも含めて検討を行った。「死」とは病院で迎えるものであるとの考え方も根強く家族の理解を得るのも難しい状況であったが、国の方針や職員の「最期は家族に看取られて頂きたい」との思いもあり、家族も含めて多職種間で意見交換や検討を行った。利用者は最期まで希望を持っているものです。安易な慰めや嘘は絶対にいけません。最後まで利用者の人生に寄り添い、見送ることは相手への敬意と感謝を示す介護職ならではの手段です。開始当初は「どう対応すれば良いかわからない」「何をすれば良いかわからない」「誰かがやってくれるだろう」などの意見も出ていたが、実際に看取りを終えた後のカンファレンスでは「もっと寄り添っていれば」「髭剃りをしてあげていれば」「お風呂に入って頂いておれば」などの「◯◯しておけばよかった」という意見が数多く聞かれた。看取りケアに対する不安は消えるものではないが、この様な反省を積み重ねながら利用者のニーズに応えられるケアを施設全体で目指していきたい。
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分散会⑤【医行為・機能訓練の実践】
・抱えない生活介護で寝たきり生活からの脱却【待つ介護でノーリフティングケアを実践した取組み】
特別養護老人ホーム 松屋茶論(大阪府堺市松屋町)
理学療法士  豊永一樹氏
特別養護老人ホームに入居されている方々は、年齢と共に身体機能や生活レベルが低下し、加療入院後に帰所されるとレベルダウンするのは仕方ないと心のどこかで思っていた。そんな中、抱えない介護を理念に掲げ、生活介護場面でノーリフティングケアを推進していくと、入居者様が機能回復し生活レベルが向上する複数名の方々に出会うことができた。症例紹介では、要介護度5から3へ改善し、肉体的介護負担が激減。完全寝たきりであった方がご自身で館内を移動され、中庭の生花を見て触ることが出来るようになったと報告。残された力を最大限に活用していただくため、過介護にならない「待つ」ことの大切さ。できることを奪わない相手の視点に合わせた介護でADLが向上し、職員の介護負担を軽減することにつながる。
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分散会⑥【口腔ケアの実践】
​・誤嚥性肺炎ゼロに向けての口腔ケアの取組み【誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト】
特別養護老人ホーム マナハウス(福岡県福岡市西区)
介護職員  内山遥氏
誤嚥性肺炎が入居者を苦しめ、入院により施設の収入は減少するなど膨大な入院医療費を発生させていた。しかし、誤嚥性肺炎が多いという認識はあったものの、その実態は不明であった。また、適切な口腔ケアで誤嚥性肺炎の予防も可能であるが、多忙な介護業務の中でも実施可能かつ効果的な口腔ケアの進め方に頭を悩ませていた。そのような状況を改善すべく、当施設をはじめ多くの介護施設がグループの垣根を超え集結し、誤嚥性肺炎ゼロを目標に口腔ケアに取り組んでいる。当施設では、平成29年8月に口腔ケアを開始し、1年で入院日数が36%に減少した。
具体的な取組みとして、①肺炎による入院日数の調査 ②誰でも簡単に行える口腔ケアマニュアルの作成 ③誤嚥性肺炎ゼロに向けて口腔ケアの実施に取り組んだ。
今後も誤嚥性肺炎ゼロを目標に口腔ケアを継続し、誤嚥性肺炎ゼロプロジェクトの参加を募り肺炎減少効果のエビデンスを蓄積させていく、口腔ケアを科学的介護として確率していく、大幅な医療費削減を通じて社会貢献を目指す。また、介護職の労働環境の改善など、介護職の社会的地位の向上を目指して働きかけていきたい。
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*・゜゚・*:.。..。.:*優秀賞発表・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
分散会①
⭐️最優秀賞
・銭のことだが、、、さて、どがんすると良かろうかな?【A氏の隠された想いや願いを考える】
総合ケアセンターたいめい苑(熊本県玉名市)
介護支援専門員  中園修二氏
🍀奨励賞
・認知症予防カフェの運営について【地域に根ざした特養となる為に】
特別養護老人ホーム せせらぎのさと蔵王(宮崎県刈田群蔵王町)
地域連携室室長  松崎道代氏
・乳児型抱き人形を使ったケアの実践【認知症ケアの視点から考察】
特別養護老人ホーム 神明園(東京都羽村市)
介護職員  飯島和枝氏

分散会②
⭐️最優秀賞
・支え合う自立支援への歩み
老人デイサービスセンターかたふち村(長崎県長崎市)
介護職員  中尾真紀
🍀奨励賞
・食の喜びに満ちた毎日を【KTバランスチャートの活用と成果】
特別養護老人ホーム 福寿園(石川県白山市)
管理栄養士  神田さくら氏
・足上げ半端ねぇ〜【洋式トイレは便秘を生んでいたのか!?】
特別養護老人ホーム みかんの丘(熊本県熊本市)
特養主任  山田優氏

分散会③
⭐️最優秀賞
・孫へ愛情が「できる!」に変わる【結婚式出席までの取り組み】
特別養護老人ホーム 函館共愛会愛泉寮(北海道函館市)
介護副主任  澤田翼氏
🍀奨励賞
・立つ・歩く・元気になる【歩行の向上がQOLの向上につながる】
特別養護老人ホーム みかんの丘(熊本県熊本市)
介護職員 塚本健太郎氏
・本当の寄り添う自立支援ケアとは【自立支援ケアの取組みを通して学んだこと】
特別養護老人ホーム 会津みどりホーム(福島県会津若松市)
介護系グループ長  高橋智宏氏

分散会④
⭐️最優秀賞
・認知症の人が最期までおいしく食べるために【多職種で取り組むアセスメントポイント】
特別養護老人ホーム かたふち村(長崎県長崎市)
管理栄養士  山田由貴氏
🍀奨励賞
・さいごまで「おいしく」食べる看取りケア【多職種協働で作る栄養ケアチームの取組み】
特別養護老人ホーム 芦別慈恵園(北海道芦別市)
管理栄養士  村上由佳氏
・特別養護老人ホームにおける看取り実践と課題【これまでの歩みを振り返る】
特別養護老人ホーム たいせつの郷(北海道旭川市)
看護師  今野由香里氏

分散会⑤
⭐️最優秀賞
・特養が自立支援のためにやるべきこと【車いすシーティングによる不良姿勢の改善と福祉用具を活用した移乗ケア
特別養護老人ホーム 正寿園(青森県青森市)
機能訓練指導員  丸山拓郎氏
🍀奨励賞
・肺炎予防への取り組み【要介護者を取り巻く環境と肺炎の関連性について】
特別養護老人ホーム マイネスハウス(福岡県糸島市)
生活相談員  菅沼亮太
・入浴移乗ボードの導入プロセスにみる「持ち上げない介護」の推進による効果【巻き起こせ!介護イノベーション】
特別養護老人ホーム 砧ホーム(東京都世田谷区)
介護職員  三浦好顕氏

分散会⑥
⭐️最優秀賞
・誤嚥性肺炎ゼロに向けての口腔ケアの取り組み【誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト】
特別養護老人ホーム マナハウス(福岡県福岡市)
介護職員  内山遥氏
🍀奨励賞
・お口のケアで活き活き人生!【デイサービスセンターにおける口腔ケアの効果と可能性】
白寿園デイサービスセンター(熊本県荒尾市)
介護職員  西香菜氏
・初めの一歩【食べることが楽しくなったよ】
特別養護老人ホーム 玉の緒(埼玉県熊谷市)
介護職員  横田梨緒氏


広報委員  田中