後半は、「在宅サービス」について説明された。

P1030141デイサービスについて。自立支援・重度化防止を柱とした取り組みに際し、医療職との連携や機能訓練等による維持向上や栄養状態等への評価に係る加算内容を説明。
また今回は大規模デイの基本報酬が大きく減額した中、サービス提供時間を1時間毎で評価した基本報酬の見直しの内容から、主に機能強化型の短時間サービスより長時間サービスを提供したデイサービスを少し高く評価している処に着目。一時はレスパイトサービスには後ろ向きだった方向性に、何かしらの可能性と広がりを感じさせるなど、デイケアとのすみ分けを初め、今後の方向性の一考察も交え改定内容を説明された。

居宅介護支援については、医療と介護の連携強化に基づく評価について説明。退院・退所後の在宅生活に向けた病院側との連携強化や、末期の悪性腫瘍に対するケアマネジメントへの取り組みの進め方等について、各種加算の内容と併せて説明された。
また、ケアプランの契約時の説明の中で、当該事業所をケアプランに位置付けた理由や、それ以外の複数の同様な事業所の紹介を求める事が出来ることを重要事項説明書の中に記載し、文書で説明することが義務付けとなった事や特定事業集中減算の見直しや訪問回数の多い利用者への対応について説明された。

訪問介護では、生活機能向上連携加算の見直しの他、見守り援助の明確化について、身体介護と生活援助の内容を比較説明した中で、例えば利用者と一緒に手助けしながら行う掃除等で、安全確保と疲労確認の声掛け確認を行う場合は身体介護に該当する等、自立支援に資するものとしての身体介護に該当する内容について説明。その他、同一建物等居住サービス提供に係る減算の注意点、生活援助中心型の担い手の拡大等の内容について説明された。

P1030145現在、厚労省は既に次回改定に向けた次への布石を打ってきている。昨年の夏から学者方を集め「科学的介護」のCHASE(チェイス・指標)を構築すべく、165項目のデータを集めそれを基にして作成を進めている(老施協、老健協。医師会はオブザーバで参加)。
そして恐らく次回報酬改定には、このCHASEとVISIT(ヴィジット・通所、訪問リハからの情報等)さらに介護保険の要介護認定とレセプト(介護報酬明細書)に関する情報を集めた介護保険総合データベース」を構築し、それに基づき次回改定時に要介護度ではなく、その指標に則った形で取り組み状態改善を実施できた所にインセンティブをつけていく可能性がある。今回デイにだけ「ADL維持加算」を創設したが、次回は同じようなものを他の事業にも広げていくことが十分考えられる事を説明された。
その他、共生型介護についての説明が行われ、参加者も熱心に聴講されていた。


広報委員のひとりごと

6年に一度、医療と介護そして障がいの同時改定が行われており、次回は2,024年度の予定である。そして翌2,025年度は、いよいよ団塊の世代全ての方が75歳以上となる年を迎える。そしてその先の2,042年には国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、高齢者人口が3878万人でピークを迎える。
これに対し、勤労世代である20~64歳は2025年に比べて1345万人も少なく、更にこの時の高齢者は「就職氷河期」と言われた世代で、無年金や低年金受給者による高齢者の貧困問題も併せて出てくるといった状況である。国はこのままでは起こりうる最悪な事態を回避するため、以前から準備を進めているという。
これらを踏まえ今回の研修の説明を通じ感じる事は、様々な対策を講じる事と併せ
、2042年に社会の中心となっている現在の10代、20代に対し、如何に問題意識を持ってもらえるか。そして現在介護の現場を担っている私たち自身が、その時自分たちがどういった高齢者になるべく、今から準備をすべきなのか。将来について、色々深く考えさせられるきっかけがあった研修内容であった。

広報委員 谷 越