第3分科会は、“ケアの向上の取組”をテーマに8施設の発表がありました。
第3分科会 会場

「飲酒に係る問題の解消を目指して!!
           ~自律を目指した自律支援の試み~」

養護老人ホーム長生園 
看護職員  五十田 雅子 様 介護職員  松橋 瑞恵 様


長生園施設内で飲酒に関わる問題の解決に向け、利用者視点に立ったアンケートの結果からニーズに応じ取組を利用者に提案して実践。その後の利用者の感想や取り組みの中から気付きを基に再度検証した結果、これまでの問題理由の本質を見い出す事ができ、問題解決に繋げた取組を発表。そしてその回答を基にスタッフの方が大事にしていきたいケアの指標と思いを確信し、今後に繋げていく発表内容を、テレビのニュース番組形式でお届けした内容でした。


「尊厳と褥瘡予防~自然な動きを導くケア~」
特別養護老人ホーム 月寒あさがおの郷 
介護福祉士 大浦 孝之 様


月寒あさがおの郷人間の自然な動きに合わせ、また引き出す効果のあるキネステティクを学び利用者への介助に掛け合わせる事で、利用者の自然な動きや自発的な動きが暮らしの中に出てきて、動けなかった方が動ける様になった方も。また褥瘡予防に繋げ、目に見える結果から職員のスキルや意欲の向上にも繋がった。その方の生活活動を取り戻し確立できた“自律”と“尊厳”を守る事を目標としたケアの実践内容でした。


「くらしにつながる多職種連携の実践で気付いた事」
特別養護老人ホーム 芦別慈恵園 
リーダーケアワーカー  宮崎 広太 様

芦別慈恵園認知症を持ち、骨折をきっかけに日常活動が減少し、さらに食事も中々進まない利用者に対して、施設長を初めとした様々な専門職が、それぞれの分野ができる必要なサポートを委員会やチームを組んで検討・実践を重ね、その方の食生活や日常生活の活性化に繋げたチームケアの取組みを発表されました。
“他職種で考えるから、変えられる”“情報の共有は感情の共有に繋がる”


「評価スケールを取入れた、褥瘡予防委員会の取組」
特別養護老人ホーム厚田みよし園 
施設長 畑中 正彦 様


厚田みよし園個々の状態に合わせた利用者の効果的な褥瘡予防や治療支援方法の取組みについて、具体的な取り組みを4種の段階的に分け、利用者個々の各種必要と思われるデータを収集ツールや評価表等を用いて集めたものを根拠に、予防や治療に適したツールを用いて、医師等の指導の下、科学的アプローチの実践を念頭に、ケアを進めてきた。その中で得た内容の発表でした。


「学習療法を選んで10年の挑戦~想いを何に乗せて届けるか~」
介護老人福祉施設シンフォニー 
介護係長 石川 明弘 様

シンフォニー開設から徐々に大きくなっていったケアや職員のチームケアに係る課題に対し、“学習療法”に出会い、それを学び利用者のケアに取り組んで実践した。結果、これまで抱えていた利用者のQOLのみならず、施設の風土や携わる職員のも大きく変化がみられた。何事にもあきらめず挑戦することの大切さを旨に実施してきた10年間の成果と思いについての発表でした。北海道マラソン完走、お疲れ様でした。


「汚名返上!! ~介護職員から始める排泄コントロール~」
特別養護老人ホームかおる園 
介護主任 木村 亮太 様 介護職員 仲村 悠希 様 

かおる園施設内で当該ユニットの“下剤使用率No1を返上しよう!”と利用者の便秘改善を目標に、自然食品を通じた下剤外しを取り組んだ。個々の便秘の症状から“陰性便秘”と“陽性便秘”、“腹部膨満”など類型化し、日々の観察経過記録や情報を基に、それぞれ適したケアをPDCAサイクルを繰り返し実施した。結果、個々の改善状況は大小差はあるが一定の成果がみられた、その経過と今後の課題について発表されました。


「マッサージが利用者の心身に及ぼす影響について」
特別養護老人ホーム北竜町永楽園 
介護職員・リラクプロジェクト 杉本 佳奈 氏
介護職員 渡邉 詔 様 看護師 吉田 康記 様

北竜町永楽園認知症状より、不安や昼夜逆転などが生じ、QOLが低下している利用者へ、“タッチケア”を提供した取り組みを発表。“タクティールケア”等といった技法より容易に習得ができ、当園すべての介護職員が習得。一人10分程度の心地よいオイルマッサージを提供し続けた事で、浮腫や疼痛の軽減や不眠・不安の解消にも繋がり、日中の生活にも意欲的で前向きな暮らしぶりになっていった。開始前後合計20か月の
モニタリング期間の結果をT検定で評価しその有意性も説明。職員の意欲向上や利用者QOL向上につなげた内容の発表でした。


「健康管理を多職種協働で取り組んで ~お年寄りも職員もハッピー~」
特別養護老人ホーム ぬくもりの家えん 
課長補佐 森 ひろみ 様 主任介護職員 室橋 綾乃 様


ぬくもりの家えん平成21年度に開設した当時は年間定員の半数ほど入院者があったが、平成27年1月から305日間入院者ゼロを達成、その後も利用者の特変サインをいち早く読み取り、速やかな対応を行ってきたことで、現在も入院者を殆ど出すことなく、利用者個々の暮らしに潤いをもたらせている。総合記録シートや認知症カンファレンススートの活用やダブルチェック、多職種連携と会議の持ち方等、実践しているトータルケアの内容と。現在の状況を生み出した理由について発表されました。


皆さんの発表内容が、大変参考になる内容で、現場のケアが年々進んできていると実感できる内容ばかりでした。本日発表頂きました8施設の皆さま、本当にお疲れさまでした。

    広報委員 谷  越