こちらの第2分会では、特別養護老人ホームにおける個別ケアをテーマに7施設からの発表がありました。


1、「縫い物屋」開業
  ★特別養護老人ホームひかりの
  ★発表者:舞良 可苗様
アルツハイマー型認知症を患ってる女性の方へ充実した生活を送って頂くための取り組みとして、その方の得意な縫い物をお願いすることで退屈なく集中して過ごして頂くことが出来た。日々のコミュニケーションの中からその方の行いたいことを考えていくことが大切。
「縫い物屋」としての活動を通じ、役割を持って頂くことで認知機能の低下を予防しながら充実した生活を送って頂けるよう支援を継続していきたい。

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2、ご利用者様の生活の質の改善~元気になった私が外出で得た事~

  ★特別養護老人ホーム女満別ドリーム苑
  ★発表者:佐藤 元様
在宅時より不安や孤独感が強く入所後も昼夜問わず頻繁に職員を呼ぶことが多かった。他職種と連携し自立支援介護の基本である「水、食事、排便、運動」を中心としたケアを提供することで状態改善に繋がり、友人と外出することが出来るようになるまでになった。
義歯の作成による食事内容の改善や排便のコントロール、歩行することによる浮腫の改善、外出することによる昼夜逆転の改善が期待できる。

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3、眩しい笑顔がみたくて~ご本人の望む生活を目指して~
  ★特別養護老人ホーム清祥園
  ★発表者:長谷川 恭平様
難病治療による長期入院で失われた身体機能、生活、自信に対し、ご本人の望む生活に少しでも近づくことが出来るよう身体機能の低下、食事摂取量の低下、精神面での落ち込みを課題として設定し、歩行訓練や移乗訓練を通じながら自信の獲得を得て趣味や余暇活動等への生活範囲拡大に繋げることが出来るようになった。園内活動のみだけではなく、外出を目的とした機能訓練やご本人の想いや発言から生活歴や趣味を模索するなどのアセスメントも大切である。何をするための機能訓練なのを明確にすることでご本人にとっても積極的に取り組んで頂くための目標となる。

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4、暴力のある利用者の人生に寄り添う~入所から看取りまでの振り返り~
  ★北竜町永楽園(特別養護老人ホーム)
  ★発表者:小笠原 拓宇様
認知症や精神疾患等で暴力行為の見られる方がいる。暴力行為は介護職員の怪我や精神的ストレス、離職等の問題を引き起こすことに繋がる可能性もある。
「その方にとっての暴力行為とは何を意味するのか」という点に目を向けた結果、その人のパーソナリティーではないかと気付くことができた。暴力のない時の関わりから「礼節に厳しい人」という人物像が見えてきた。その人の性格や特徴に合わせ、丁寧に頭を下げて敬語でお願いしたりすることで本人も穏やかに過ごされ、個性として捉えることで職員も精神的ストレスを軽減することができた。
問題行動として捉えてしまうと、その人の人生を制限しなければならなくなるかもしれない。どうしたら暴力行為を無くすことが出来るのかという発想ではなく、問題行動をその人として受け入れ寄り添うことが大切である。

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5、本当の願いは?~主体性の自立支援~
  ★特別養護老人ホームかおる園
  ★発表者:小山 俊朗様
普段からムスッとした表情でほとんど変化が見られない方。ご家族からも笑顔が見たいとの要望があった。生活意欲の向上を図り、本人の口から本人の想いを聞き取るための取り組み。
歩行訓練や浮腫み軽減マッサージを実施することで少しずつ歩行が出来るようになり、表情も柔らかく笑顔が見られるようになった。また、できるだけ同じ職員がケアを行うことで信頼関係を構築し、日常会話を通じながらご本人の想いを聞くことができた。但し、課題として特定の職員しか関わることが出来ないことへの対応について検討が必要。

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6、娘のために
  ★特別養護老人ホーム太陽園
  ★発表者:有田 由美子様
障害を患っている子供を持つ方が施設入所。帰宅願望が強く見られ、車イスからの転倒を繰り返すことが多かった。歩行訓練やお手伝いを通じて機能回復を目指すも夜間帯に独歩で転倒されてしまうこともあったが、ご本人の行動を制限せずに希望に応じた対応を行うことで入院されている娘さんへの面会も出来るようになり、心に余裕がうまれ、レクや家事を通じて自然と会話や交流を楽しむことができるようになった。
職員の立場から見たら入居されている利用者さん。でも、娘さんを心配しているおかあさんであることを忘れてはいけない。

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7、動き出しを待つことで見えてくるお客様の本来の力
  ★特別養護老人ホーム芦別慈恵園
  ★発表者:中尾 亮介様
食事以外はベッド上で過ごされることが多く、介護に依存されている方の事例。
ベッド柵に掴まりながら起き上がって頂く、ベッド上で端座位になったら10秒でいいので座位保持して頂く、車イスへ移乗する際には職員に掴まってしっかりと立ち上がり立位保持して頂く、移乗時には2歩程度歩いて頂くよう促す等少しずつ残存機能を活用していくことで3年ほど経過した現在では歩行器や杖での歩行も可能なほど回復を見せた。その結果、喫茶店や買い物等の個別レクの実践にも繋がった。ご家族の「本人らしい生活を送ってもらいたい」という望み叶えることができた。これからも歩く機会を持ちながら足の力を維持することで外出の機会を持ち続けることが課題となる。
介護技術研修の考えとして、「動き出しはご本人から」という考えを大切にし関わることが大事である。

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研究発表をされた皆様、実践された施設職員の皆様、本当にお疲れさまでした。
どの発表も日々の実践の努力がなければ発表することのできない素晴らしい内容だと感じております。
その人らしく生活を送って頂くというテーマはとても奥深くなかなか答えの出ない難しい内容だと思っております。本日は、多くの皆様に参加していただきましたので、これからの高齢者ケアへの取り組みにご期待申し上げます。

広報委員 田中