去る8月30日、台風10号が北海道に上陸。各地に豪雨被害をもたらした。南富良野町も、付近の空知川の堤防が決壊し、市街の半分が冠水。市街に特養や障がい者施設を運営する社会福祉法人 南富良野大乗会も特別養護老人ホームを初め、複数の施設が浸水被害に見舞われた。その中で、特養 一味園(伊藤 ひろみ施設長)の状況と、上川管内を中心に道北ブロック老施協を初めとする多くの支援者による復旧支援について、レポートする。

デイ入口前 冠水 向こうはこざくら園










 8月31日 早朝。一時避難した一味園デイサービスセンター玄関から。決壊した水が周囲を大河に変貌させた。
                     
1 被 災 当 日
 8月30日、台風10号の影響で空知川が増水し、午後7時30分町から避難準備情報が発令され、一味園職員が施設に集合。ただこれまで空知川は決壊はなく、また施設内で看取りの方を初め多くの重度者がいる中、闇夜に設備のない避難所へ移す事への不安等から、しばらく様子を観ていた。

しかし事態は急変した。午後10時から避難指示に変わり、その4時間後外の様子を観に行った職員が「道路が川の様になっている。丸太が流れている」と叫びながら戻ってきた。その後空知川からの濁流が施設に流れ込んで来るのに、そう時間はかからなかった。

 施設の裏に隣接している高齢者施設 くるみ園側から、空知川の水がなだれ込み、両館をつなぐ渡り廊下より、くるみ園の入居者9名を急いで一味園のホールに避難誘導。しかし、一味園にも浸水が始まった。一味園は平屋で高い場所がない。一味園のショート利用者も含む57名とくるみ園9名を、伊藤施設長の指示のもと、10名の職員が協力し合い、車いすの方も含め速やかに小上がりやテーブル、椅子等の上に上げて、迫りくる濁流から利用者を守った。

その後館内に床から20cmほどの高さまで浸水した後、午前4時位より水が引き始めた。外が次第に明るくなった頃には館内の水も引いた。それで伊藤施設長らが外の状況を観に行ったところ、まだ外は大河のごとく、空知川から水が押し寄せていた。その時SNSに配信した職員の、一味園の外の状況(動画)と救援の呼び掛けに、事態の緊急さがわかる。 

※② につづく。