研修2日目。本日の研修は 砂川市立病院 認知症疾患医療センター長 内海 久美子 先生を講師に招き、「認知症治療の現状と地域ネットワークの構築」と題し、講演が行われた。

内海先生毎年増加する認知症の数とその介護による痛ましい事件。その被害者は圧倒的に認知症の方であり、家族の抱え込み介護の結果、認知症介護のストレスと、状況改善の見込みはないんだ、といった絶望感等が、主な理由としてあげられている。こういった事をなくすためにも、行政だけではなく、地域住民の結集によるみんなで支え合う地域づくりの必要性が望まれるのである。
その仕組みを紹介する前に、認知症疾患の種類と特徴、更に現代医学での治療法について紹介。
精神科、神経内科、脳神経外科と内海医師が共同診療する“物忘れ専門外来”に受診された方の、初診内容を12年間分調査した結果、6割以上がアルツハイマー型認知症、13%前後がレビー小体型認知症であった(軽度認知障害の方も13%前後)。今回はこのアルツハイマー型とレビー小体型の2つについて、段階別および種類別症状や特徴の他、現代の検査方法や治療方法などを説明し、関わった症例等を報告された。その説明を聞いて、「えっ、そうだったの?」「レビーが良くなるなんて」等々、新たな情報や知識を説明頂き、参加者からも声が上がっていた。

内海先生会場後半は、“ネットワークで支えよう認知症”と題し、“情報共有”“互助”の考えを基に、中空知で行っている“NPO法人 中空知・地域で認知症を支える会”の取り組みや難解事例への対応等についてケースを通じて紹介。参加者方もその取り組みについて、熱心に聴講されていた。

※後半の内容を詳細に綴った内海先生の書籍があります。ご興味のある方はどうぞ。
 “地域包括ケアってなあに? 地域で見守る認知症 ー砂川モデルを全国へ” 医学と看護社 出版

2日間の研修、本当にお疲れ様でした。8月には25日(木)26日(金)に、各施設で日々実践してきた内容を発表する「老人福祉施設研究発表会」が開催されます。本研修の1日目で発表された報告と同様に、今年もたくさんのすばらしい発表が予定されてますので、多くの方のご参加お待ちしております。
 尚、開催案内については、今後当ブログ、若しくは道老施協ホームページに紹介しております。

 
 広報委員のひとりごと

先日、NHKスペシャルで、家族による介護事件をテーマとした放送があった。冒頭から「日本において2週間に一度の割合で“介護殺人”が発生している」という発信。年々増加している痛ましい事件。その理由がストレスと絶望感によるもの。今回の研修は、両日共そういった課題を解決するためは何か?、についての内容だった。絶望から希望へ転換できるための、公私共による支え合いの地域つくり。できることから協働しなければ、と思った。

  広報委員 谷越