勉強会2日目は、全国老人福祉施設協議会 阿比留志郎副会長による「養護老人ホームを取り巻く環境 増加する介護ニーズへの対応 ~問われる特定施設の真価~」と題して講演をいただきました。

 まずはじめに、高齢者を取り巻く情勢として、家族構成の変化により家族介護・扶養の困難さ、2025年問題(団塊の世代が75歳になり医療・社会保障費の膨らみと介護担い手不足)、2040年問題(高齢者人口のピークと全国の半分の自治体の存続が難しくなる予想)、 後期高齢者人口の市町村格差(都市部では急速に増加するが、もともと高齢者人口が高い地方では減少する市町村もあり、地域特性に応じた対応が必要)、年齢階層別の医療・介護に係わる費用(65~74歳に比べ、75歳以上の医療費は約4倍、介護費は約9倍)について解説。このような状況を踏まえ、給付費の抑制はやむを得ない状況ではあるが、抑制の仕方を国に伝える役割があると説明された。

image 次に、現在までの制度改革の背景と今後の方向性について解説。過去3年間の社会保障関係費は、各種改訂等(平成25年生活保護の適正化・平成26年藥価改訂・平成27年介護報酬改訂等)により年平均0.5兆円程度の伸びに抑制されてきた。しかし、今後も社会保障関係費の増加が見込まれるなか、平成30年に医療と介護の同時改訂にむけた話し合いが始まっている。医療介護改革検討項目としては、①医療・介護提供体制の適正化②インセンティブ改革③公的サービスの産業化④負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化の4点である。その中では特に要介護認定率や一人当たりの介護費を分析し平均を出すことで、サービスを控える市町村が出てくる可能性が懸念される事、軽度者に対する対応については、生活援助と福祉用具貸与や住宅改修の自己負担化、要介護1・2の通所介護サービス等が地域支援事業へ移行での市町村格差に対する懸念について解説。今後の方向性としては、財源がないので効率化を図る、吟味の上でサービス提供は要介護3以上、要介護1・2は地方にという流れであると説明された。また、複雑多様化する福祉ニーズを効率的に提供するために、地域住民の互助・共助の取り組みを育みつつ、対象者の状況に応じて、分野を問わず包括的に相談・支援を行うこと、福祉サービスを地域の実情に合わせ総合的に提供できる新しいシステム作りについても検討され、取組事例などを用いながら説明された。

 このような国の流れの中で、養護老人ホームにおいても重度・多様化が進み、平成16年外部介護サービス利用型措置施設への転換や、平成25年入口支援強化のため自前でニーズを見つける在宅介護支援センター機能の付加、今年度は養護老人ホームに期待される役割を担う職員の人材育成ツールをどう作っていくかの話し合いが行われている。今後の養護老人ホームのあり方としては、①地域への積極的アウトリーチを実施し対象者の把握と行政等との連携対応能力を備える(入口支援)、②入所者の多様性に併せた対応能力を持つ職員育成と共に地域の高齢者や事業所との連携を強化した生きがい作りへの取組、③自立支援を積極的に実施し地域移行に取り組むと共に、地域移行が困難な者についても伴走型の支援を実施(出口支援)、④養護老人ホームがこうした改革をすすめることにより自治体や地域住民からの理解と支援を得ることが必要である。これらを行うことにより、施設本来の役割や機能が衰退することはなく、施設を拠点とした支援対象者の範囲が地域全体へ拡充することにより新たな顧客の創出(措置控えへの対策)と切れ目のない支援体制の強化に繋がり、結果地域での暮らしを守る「支援」のあり方を進化させ、こういった活動が地域貢献、養護老人ホームが必要だと言われるようになると締めくくられた。

 最後に平成27年度介護報酬改訂において一般型特定施設の指定を受けることが可能となった事をうけ、指定を受けるメリット・デメリット、人員配置基準、加算要件についての解説をいただき講演を終えました。

 閉会挨拶の中で、北海道老人福祉施設協議会 養護老人ホーム検討委員会 石津副委員長より消費税増税に伴う措置費への対応についての情報提供(措置費への増税対応済は全国で約2割、各市町村に増税対応されているか確認が必要、また市町村への要望は施設単位ではなく、ブロック老施協単位で行う事をすすめる、要望書などについては全国老施協ホームページなども参考にして欲しい)もあり、二日間の日程を終了しました。

 広報委員のひとりごと
 養護老人ホームに特化した研修は年に一度、2日間の研修の中で得られた人脈や交わされた意見は今後のサービスに生きるのではないかと思います。日々の業務は大変なことも多いですが、ともに頑張っている仲間の存在も支えにしながら利用者様の多様なニーズに応えていければと私自身が改めて思いました。お忙しい中全道各地から二日間の研修に参加していただきありがとうございました。

広報委員 村山