ここからがタウンミーティングのメインとなる北海道からの課題提起と全国老施協との意見交換の場。

全国老施協 太田委員長の進行で以下の項目について話あわれた。

①サービス付高齢者向け住宅の状況と軽費老人ホーム・ケアハウスの影響について

②社会福祉施設の建て替えについて

③寒冷地暖房費について

④介護報酬改定について

⑤介護人材確保について



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①サービス付高齢者向け住宅の状況と軽費老人ホーム・ケアハウスの影響について

「軽費老人ホームは特養やデイサービスと同じ全国老施協の会員であるのに、地域包括ケアの中でも見捨てられているかのように名前があがってこない。研修会に参加しても、特養中心の内容となっているため研修参加の意義を見出すことができない、と会員施設から声が上がっている」と北海道老施協軽費老人ホーム・ケアハウス検討委員から提言があった。

 

他に、「軽費老人ホームの生活相談員は20%以上が有資格者であって、より高度な利用者支援を行えている自負があるので、サ高住の増加も脅威ではない。」「今後、重度化の利用者と軽度の利用者の支援のあり方について考えていかなければならない。」などの発言があった。

全国老施協 中田顧問は、「軽費老人ホームは一般有料の高齢者施設より厚い職員配置と特定施設として介護保険給付対象となるので有利。これからは、プライス(価格)、プレイス(場所)、プロダクト(生産)、何を売りに地域に示していくかを自分たちで検討していく必要がある。」とした。

 

②社会福祉施設の建て替えについて

昨年6月に改築工事が終了した札幌市の施設から「社会福祉法人に対して内部留保金を地域貢献に充てるようになってきているが、そうなると施設修繕に充てる資金が不足する」と発言があり、全国からは「他の都府県では改築して一部ユニットにした際、行政から不適切な指導があった。」と報告がなされた。

 

③寒冷地暖房費について

今年の3月に改築が終了した施設より、「改築の際にオール電化にしたため、二度の電気料金値上げで8,000万円ほど負担増となっている。利用者には事前周知し負担してもらっているが、当初想定した額の倍に増えてしまった。」との意見に、全国老施協からは「介護報酬では全国一律にしかならないので、冬季暖房を使用する北海道・東北のみの加算とはいかない。地域独自の問題は地域での対応となる。」との発言に対し、北海道老施協 深谷副会長から「介護保険の地域区分の考え方は、国家公務員の給与制度に準じているはず。公務員には寒冷地手当が適用されており、実費ではないが支給されている」と進言し、次回開催される介護給付分科会の地域区分の協議中で、話題に出されることで次のテーマに移った。

 

④介護報酬改定について

「北海道のみの問題ではないが、6%引き下げられるとほぼ全施設が赤字経営になる。特に通所事業は苦しい状況なので、全国老施協にはぜひ頑張っていただきたい。」との発言があった。全国老施協から「厚生労働省の経営実態調査は、収支差率で特養が8.7%、通所で10.6%となり、我々にとって非常に重たい結果となっている。

厚労省の調査結果は全国老施協で実施した実態調査結果と数値に開きがあり、東京都や福祉医療機構で実施した調査は全国老施協の結果とほぼ同じ数値となっており違和感を覚えるが、マスコミは厚労省の調査を取り上げる。全国老施協の実態調査についても今回の回答率が4割と低く、8割を超える回答率であればインパクトのある調査結果となり外部への調整の大きな材料となる。」と、今後の調査への協力要請を付け加えた。

 

⑤介護人材確保について

北海道老施協 三瓶会長は「人材が不足することは予想できたこと。人材がいなければ助けられる命も助けられなくなるので、国は思い切った対策をしなければならないのではないか。」とし、全国老施協 太田委員長は「全国どこに行ってもこの課題が必ずあがり、職員待遇の問題なのか、人口が減少しているためなのか、結論に行き着かない。人材が不足しているため、新設のユニットを稼働することができない事例がある。」とし、中田顧問が「全国老施協の人材確保対策は【若者を介護業界に導く】・【介護福祉士・社会福祉士の社会的地位の向上】の2本立てで動いており、合わせて職場環境の改善と処遇改善にも努めている。」と発言した。熊谷副会長は「外国人材を積極的に活用していくことも見据えなければならない。」と締めくくった。

参加者から多数提言があがり、活発な意見交換の場となった。


北海道老施協 事務局