令和5年度 老人福祉施設長研究セミナー開催
老人施設長研究セミナー開催
去る令和6年1月29日(月) 北海道第二水産ビル8階にて
会場約70名、オンライン70名、総勢140名が参加されました。
●講演1
「心理的安全性を高めるチームづくり」
~働きやすい職場環境づくりを目指して~
講師 : 認知行動コンサルティングオフィス代表 岩野 卓氏
資格 :
臨床心理士・ 公認心理師など (北海道枝幸町出身)
そもそも認知行動療法とは,多くの問題に対して効果が
実証された心理療法の一つで、心の問題以外にも,
ストレス対処や睡眠衛生など,幅広い問題への適用が
なされている,「行動の科学」と言われております。
◇-1資料の一つを紹介します。「介護従事者のストレス」
介護労働安全センター2023調査結果の
1位 人手が足りない 2位 賃金が安い
3位 身体的負担が大きい 4位 健康面の不安
5位 社会的評価が低い 6位 精神的にきつい
5位の社会的評価が低いと感じている方が多くいらっしゃる
ことは非常に残念です。(介護職の皆様に申し訳ない)
■「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」とGoogleが
2016年に発表している。
~心理的安全性とは、労働者が職場で安全だと感じること~
逆に言えば、職場で「何が心理的安全性に影響するのか」
① 同僚の支え合い、②仕事の役割が明確、③リーダーとの良い関係
などです。
ここでも「人間関係」が重要ポイントになっています。
■育った世代により思考や生活感・常識・社会性などが異なるため
互いを認め、理解しなければ「人間関係」は崩れてしまう。
X世代(1965~1980頃生まれ)とℤ世代(1995年以降生まれ)では
受けた教育や生活環境が大きく変化していることを
施設長・リーダー認識しなければ離職に繋がる恐れがあります。
■講師からのメッセージ
「人財育成は未来への投資」
★興味のある方は下記のサイト・チャンネルにアクセスして下さい!!
省働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
(mhlw.go.jp)
●中央情勢報告
「介護報酬改定について」
皆様も既に周知されていると思いますが、2024介護報酬改定率は
全体で1.59%のプラスとなった。しかしながら、瀬戸会長をはじめ
全国老施協が要求していた約9%プラスには至らなかったのは残念だ。
また、訪問介護においては報酬単価が下げられるなど、在宅介護の
根幹を揺るがす厳しい改定になったと表情を雲らせておられました。
76ページにもわたる資料を全て説明する時間はないが、今後、各種
加算などの詳細やQ%Aが厚労省から発信され、全国老施協では動画に
よる配信も予定しているので確認して頂きたいと締めくくられました。
新加算の創設、減算対象など改定後の諸準備を進めていきましょう!!
●講演2
「BCP策定後の具体的な運用のあり方について」
講師 : 株式会社ムラカミ 経営企画室担当部長 加藤 幸治郎氏
災害初動対応にはBCM(事業継続管理)が重要で、BCP(業務継続計画)
発動 時の本部機能を支えることに繋がる。我が国で発生した過去の震災や
大雨、洪水などの事例を上げて「備える。守る。」ことの大切さを再認識して
いただきたい。
震災時は「シェイクアウト訓練」が有効だが、自身の身を守る手段を知っ
ているか知らないかで生命の存続に係ることになります。また、備蓄で満足
せず、購入した物を実際に使用する訓練を実施しなければ意味がない。
現在、能登半島地震で被災された場所に社員が出向いているが、感染症が
発生したり、菌や悪臭などの対策が追い付かず生活環境の悪化を招いている。
BCP計画は殆どの施設で策定されていると思うが、最低限必要な備蓄でも
構わないので、実際に必要と想定される分を備蓄し、地域の関係機関やライ
フラインに係る業者と協定を結ぶなど、協力連携体制を構築していくことが
重要ですと呼び掛けられました。
私共の会社は1925創業、「防災の安心安全を第一に考える」会社で、札幌
市内の町内会や学校などで「まなぼうさい」と題して「自助」「共助」を学ぶ
活動を積極的に実施しています。介護施設等でも出張防災教室は開催可能で
すのでお問い合わせ下さいとのことでした。
●はたさぽ(札幌市働き方改革・人材確保サポートセンター)
長谷川 佑夏さんから介護施設関係者にも活用可能なセンターの研修など
の事業紹介をされました。
札幌市の事業ではあるが、他市町村からの参加も可能で、オンラインでも
参加・相談可能とのことでした。
【お問い合わせ】011-219-1331
札幌市中央区北1条西2丁目
まとめ
閉会後、令和5年度全道老施協定期総会が開催され、波潟幸敏副会長から
「この度の介護報酬改定は、特養はある程度成果が得られたと思うが、私が
担当するデイサービスについては要求した内容を汲み取っていただくこと
ができなかった。改めて政治力が必要であることを再認識させられた。」「こ
れからさらに厳しい運営を強いられることになるが、現場の状況を周知して
いただくためにもアンケート調査の依頼があれば多くの施設が答えて欲し
い。」と閉めの挨拶をされた。
北海道はとても広い面積を誇り、地域によって情勢は大きく異なります。
私共が運営させて戴いている富良野市も人口が2万人を切り、全ての産業
で人手不足に陥っています。75歳以上人口は横ばいですが、65歳以上人口
は減少しており、今後は徐々に要介護高齢者数も減っていくことが予想され
ます。
如何にして「地域の福祉インフラを守る」ことが出来るか??
このことを考えて参りたい・・・。
広報委員 福永
令和5年度認知症介護リーダー研修(実習報告とまとめ)
本日はカリキュラム最終日!道内各地から集まった受講者14名は5日間の座学を経て、過酷な4週間の自施設実習の成果を報告し、讃え合います。
特養介護副主任Kさんは自施設実習を通じて過去の感覚的指導から脱却し、リーダー研修で得たティーチングやコーチングの手法を積極的に活用するようになったとのこと。これにより、一方的なアプローチから相互的なコミュニケーションによる指導方法を習得出来たようです。
さらに、研修で得た知識と実習で得た経験をパワーポイントでまとめアウトプットする機会は、自身への学びに繋がった。他施設の職員との交流することで、様々な価値観に触れることが出来、悩みが解消することもある。施設に戻ったら他の介護職員へ受講を勧めていきたい!と笑顔で語ってくれました。
すべての報告が終わる頃、、、
受講者全員が頼り甲斐のあるリーダーの顔になっていました。
令和5年度 養護老人ホーム職員研修会【第2日目】
情勢報告として、「養護老人ホームを取り巻く課題と令和な養護老人ホームへのチャレンジとチェンジ」をテーマに、全国老施協 介護保険事業経営委員会 養護老人ホーム部会 平岡 毅 副部会長に、奈良県よりオンラインにてご講演いただきました。
時折ユーモアを織り交ぜながら全国と道内の措置状況等について全国調査結果をもとにお話しいただき、改めて“現状”を知り、そこからの“分析”を通じて“今後”に向けた自治体へのアプローチ等の取り組の必要性を感じる機会となりました。
また、熱く語っていただいた「令和の養護老人ホーム」像も含めて、恐らく養護老人ホーム以外の職員が聞いても強く心に響いたのではないかと思われる非常に有意義な講演となりました。
次に、実践報告として、「災害は“もしも”の話じゃない!!~防災力強化の実践~」をテーマに、稚内市養護老人ホーム富士見園 山内 正人 施設長にご講演いただきました。
施設単位に捉われない、地域も巻き込んだ“災害図上訓練”の具体的な方法やその成果等についてお話しいただきました。臨場感のある内容に、参加者の皆さんも“我が事”として真剣にメモを取りながら受講されている様子が印象的でした。
全道各地から二日間にわたりご参加いただいた皆さま、お忙しい中、ご講演いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
令和5年度 養護老人ホーム職員研修会【第1日目】
今回は全道各地から、35名の方にご参加いただきました。年末のお忙しい中、皆さまありがとうございました!
◯第1日目(12/6(木))
まずは開会挨拶にて加藤副会長より、養護老人ホームの理解増進の必要性についてお話しがあり
その後、
東海大学健康学部健康マネジメント教授 中野いずみ様より、「養護老人ホームにおける入所措置に伴う高齢者のリロケーションと緩和支援」というテーマでご講演いただきました。
みなさん、リロケーションという言葉はご存知でしょうか???
耳馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、リロケーションとは、「住み慣れた地域や生活空間、人との関係性があった生活から、新たな場所へ生活を移すこと」で、今回は、老施総研助成研究としてご報告いただきました。
参加者の皆さんも、環境の変化で心身機能に変化が生じたご利用者様と関わりはあると思われ、具体的な経験を重ね合わせて受講されていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
講演では、
・入所に伴うリロケーションは、個人差はあるものの、その方にとって大きなライブイベントであり、不安や戸惑い、あるいは安心感などの心の変化も体験している。
・リロケーション支援には、入所という環境の変化に伴う心身状態の観察や予測が必要で、その方のストレングスに着目した個別支援が求められる。
といったお話があり、改めて「専門性に基づく個別の継続的なアセスメントと支援」の重要性を学ぶ機会となりました。
講義の後は5つのグループに分かれて、
①本日の講演を受けて
②支援および施設経営に関する諸課題について
をテーマにグループワークを行いました。
最初は皆さん緊張した面持ちでしたが、本会養護検討部会委員がファシリテーターとなり、あっという間に和やかな空気となり、時折笑い声も聞かれ、身振り手振りを交えて話される姿も見られる活発なグループワークとなりました。
グループ発表では、数えきれない程の事例や困りごとなどが共有されましたが、中でも
・精神疾患や知的障害の方の受け入れ。
・コロナ5類移行後の面会や外出、外泊の取り扱い。
・人材確保や夜勤体制について。
・いわゆる措置控えへの対応。
などに触れられていた発表が多かったように感じられました。
そして、1日目の最後は、場所を移しての情報交換会!
中野教授もご参加くださり、リラックスした雰囲気で「養護の職員同士」という貴重な機会での情報交換を楽しまれておりました。
上手に感染対策をしながら、ストレス発散も大切ですね。
皆さんお疲れのところご参加いただきありがとうございました。
令和5年度多職種協働による自立支援と重度化対応・重症化予防研修について
令和5年度多職種協働による自立支援と重度化対応・重症化予防研修2/9回 (令和5年11月18日)
去る11/18(土) 「ここ数年で大きく変わった最新の認知症ケア2」と題して
初回同様、一般社団法人全国高齢者ケア研究会研究代表理事の泉田照雄氏からZOOMによるオンラインの形式でご講義を受けました。
約25年前は、日本版パーソンセンタードケア「よりそうケア」を主として活用
しておりましたが、老年医学も大きく進歩し、標準的な治療アルゴリズムも形
になり、「よりそうケア」とこれらの最新知識に基づいた科学的ケアを融合した
■研修2回目の内容
・前頭側頭型認知症(FTD)の6大症状が現場でどのように現れるか
1脱抑制 2無気力・無関心 3共感感情移入の欠如 4固執、常同性
5口唇 傾向、食習慣の変化 6認知機能障害の特徴 7失語症について
・前頭側頭型認知症のケアの方法 ルーティン化療法などを説明
・認知症薬の基礎知識
前頭即答型認知症の特徴や他の認知症との相違など分かりやすく、代表的な
行動や事例を交えて説明され、参加された皆様も日々ケアされているエピソ
ードと重なるなど、参考になることが多々あったと思います。
FTDは他の認知症と異なり特徴的な行動異常を来す認知症で、難しいケース
が多いと思いますが、この学びを契機に「トータルケア」を多職種一丸とな
り、個々人に対するケアの質を高めていきましょう💛💛💛
泉田先生ありがとうございました。
広報委員
「”異次元の介護報酬引き上げ”を陳情する決起大会」in北海道(令和5年11月11日)
会場には、衆議院議員高木宏壽様、